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「免疫力」という言葉について思うこと

免疫力って何?

「免疫力を高める」「免疫力が大事」というフレーズ、健康法では良く耳にします。

 

でも「免疫力」って何なのでしょうか?

 

そう思うようになったのは、この仕事を始めてからのことです。あまりにも多くの健康に関する本、インターネットのサイトで「免疫力」という言葉が書かれていて、あまのじゃくな私は「そんなに免疫力に頼って良いのか?」と思ったのです。

 

 そもそも「免疫力」という言葉は、医学用語ではありません。

 

(以下、引用)最近よく、「免疫力をアップさせる食品」とか「こうすれば免疫力が高まる」とか耳にするし、私も含めて医者の方でも、便利なので「免疫力」という言葉を使う。でも、「免疫力」とは具体的に何なのかと問われて答えられる人は医者においても少ない。それもそのはず、免疫力なる単語は医学用語にもないし、実に曖昧なものだからである。曖昧だからこそ、キャッチフレーズに使われ易いし、患者がだまされ易い言葉でもある。(引用、ここまで)

医療法人慈誠会福岡がん総合クリニック 院長コラムより引用

 

 

また「免疫力を高める」と良く言いますが、免疫力をどのような指針で測るかを明確に書いている本やサイトは、あまりありません。

 

(以下、引用)免疫力を測る具体的な物差しはありません。免疫は多彩なので、その多彩さを測るのは大変です。しかも、大きいとか高いとかという量だけでもありません。とかく「強い」「弱い」で捉えてしまいますが、免疫の質も重要なのです。質のよしあしを判断しないと、免疫を測る物差しの意味は少なくなってしまいます。(引用、ここまで)

三村俊英「基礎からわかる免疫学」2011年 ナツメ社 34p より引用

 

「免疫力を高めよう」と言っても、「今自分の免疫力はどのくらいなのか?」と言うことを知るのは容易ではないということですね。

意識的に「免疫力」を使っていません。

私もこの仕事を始めて最初の頃は、「免疫力」とか「自然治癒力」という言葉を使ってお客様に説明したり、講座でお話しをしたりしていましたが、ある時から、これらの言葉を使うことを意識的に止めました。

そんなに簡単・単純なものじゃないと思うようになったからです。

 

細菌やウィルスなどから自分の体を守るための力を「免疫力」とするなら、免疫力はとても重要なものだと思います。でもその力が過剰になると、アレルギーになってしまいます。だから、何でもかんでも「免疫力をアップすれば大丈夫」「免疫力を高めよう」だけで説明するのは、ちょっと疑問があるのです。

 

でも、人間の体ってまだまだ分からないことだらけですから、もしかしたら今後「免疫力」でいろんな症状の説明がつくようになっていくのかもしれません。

 

私もまだまだ勉強しなければなりませんなぁ~。

とりあえず、今の段階でちょっと感じていることを書いてみました。

 

 

参考書籍

・安保徹「病気になる体質を変える!免疫健康学」 2011年 PHP文庫

・三村俊英「基礎からわかる免疫学」 2011年 ナツメ社

 

参考ホームページ

医療法人慈誠会 福岡がん総合クリニック 院長コラム 

・五本木クリニック 美容皮膚科 院長コラム